昨日と同じく声に出して読みたい教育者の名言50からです。
 

板倉聖宜氏は仮設実験授業で有名ですね。

「本当に自分の独創性を伸ばしたいなら,優れた他人の独創を模倣するのが一番」

「子どもは一流の科学者の模倣を,教師は酢触れた教師の模倣をするのが良いだろう」

味わい深い言葉です。
 

「人のまねをしてはいけません」と私たちはよくいいますけど,でもまず真似をして最初のハードルを越えるところから達成感がうまれるし,やりかたはわかるし,なによりできるようになる。いいところばかりです。


私はよく子どもたちが絵を描くときに困っていると,「真似をしてご覧。まねさせてね,と言ってさせてもらう真似はいいんだよ」と言います。
真似はだめだという言葉のうらには,アイデアのパクリはだめだ,という倫理観があると思うのですが,「真似させて」と堂々と宣言して行う真似はパクリではありません。


また,「真似させてもらうとき,少しだけ変えて真似してごらん」とも言います。そのままではなく,そこにほんのちょっぴり自分の工夫を入れる。


このことで,一気にタガが外れて,水が怒涛のように放流されるように一気に表現が進むことがよくあります。


もともと「学ぶ」ということばは「まねぶ」からきているともいいます。


あるミュージシャンが,「音楽なんて昔から誰かの曲のまねでできてる」と言いましたが,それもそうでしょう。まねることから新しいものが生まれる。


ラファエロ工房とか,ダビンチ工房など,昔は徒弟が親方の技を真似しながら身に着けていったわけで,そのうちその技が自分のものになったところで自分なりのものが生まれ始めるのです。


独創的であろう,そのためには人のまねはしないと決めて独創をひねりだせるのは天才だけ。


だから,自分だけのものをつくるために真似をしたらいいんです。


オリジナルに敬意を払ったうえで。

gakugeikai