「聞いてくださいよ!マキ先生」
 

お昼休み,ヨーコがぷーっとふくれてマキの教室にやってきた。
 

「どうしたの?ふぐみたいになって」

「うちのクラス,忘れ物が全然減らないんですよ。毎時間,「教科書忘れました」「ノート忘れました」ってずらっと私の前にならぶんですから。」

「ふふ。大変ね。」

「もう。笑い事じゃないですよ。それでね,実は困ってることがあって・・」
 

忘れ物が多い以上に困ってることって何だろうとマキは思い,ヨーコの方に向き直る。
 

「実は,授業の前に忘れ物をした子が並ぶんですけど,最初は「今度から忘れないようにね」と言って帰すんです。でもそれが5人くらいになってくるとだんだん腹が立ってくるんです。」

「ふんふん。」

「それで8人目くらいになると,同じもの忘れてるのについおこっちゃうんですよ。腹が立って。」

「それは考え物ね。指導は公平でなくちゃ。」

「わかってるんですよ。それでもこう・・・・重なってくるとだんだん腹がたって・・どうしたらいいんでしょう?」
 

ヨーコの悩みは,よくわかる。
私も若いころは同じことで悩んだっけ。
 

「ヨーコ先生。その悩みには実は,もう一つ問題があるのよ。気づいてる?」

「なんですか?」